Vol.45 育英会さん、ありがとう 葵 都魔都

Centris 660AV
(改めPowerMac 6100/60AV)
ご多分に漏れず、私も「借金tosh」にはまった口である。

最初に我が家にMacintoshがやってきたのは、1991年の3月。父親がアメリカ帰りに、発売されたばかりの(日本では当時未発売)LC初号機を買って、ご苦労なことに手荷物持込で担いで帰ってきたのである。そのときの私のカルチャーショックと言ったら…1000字はおろか10000字でも収まらなさそうなので、今回は割愛する。

さて、アメリカ生まれのLC初号機は、我が家に異文化旋風を巻き起こしたものの、システムが英語だったこともあってほとんどテトリス専用機と化してしまった。そう、とーちゃんはテトリスも一緒に買ってきたのである。なんと用意のいい…。

かようにゲーム時間が最多とはいえ、無料添付のハイパーカードをいじったり、3万6千円もするクラリスワークス初代を買ったり、6万(!)も投資して今は亡きスタイルライター初号機を買ったり(既にしてビンボー人生の兆し十分)、そうやっていろいろ遊ぶうちに「ノ私専用のMacがほしいなぁ」と思うようになるのは当然といえば当然の帰結であろう。ノだれだ、今そこで「そうかぁ?」って嘲笑った奴は?

しかして自分専用のMacを手に入れるには、1994年2月まで待たねばならなかった。何故かって、タイミングと予算の問題である。主にタイミング。Macを持っていなかったにもかかわらず(LCはあるときを境にほぼ壊れた)、毎月Mac Powerを買っては読み、新製品の出現と旧製品の値下がりをチェックし続けて3年(こーやって書くとかなり病的だなノ)、ようやく機は熟した…というより、無理やり熟させた。

忘れもしない、MacExpoで憧れのCentris 660AVを注文。ちょうどその時期、アップルさんは「この機種を買うと3万円でPower Macintoshにアップグレードできる!」とキャンペーンを張っていた。それに乗せられたのだ。もちろん、Centris 660AVのあのスタイリッシュなデザインに惹かれたことは言うまでもない(私、デザインはけっこー重視するので)。さらに、いろんな意味で「コンセプト」の新しさに共感したことも否めない(私、「コンセプト」って気になる人間らしいので)。

Audio Visionとかゆー怪しげなモニターと一緒に購入して、40万円也。大金、大出費である。IIあたりのユーザーにはせせら笑われそうだが、一言言わせてもらえば、私、当時まだ学生だったんである。それなのに。嗚呼、それなのにそれなのに。

人間、欲にはキリが無いもので、いったん購入して使いだすと「メモリをもっとノ」だの「外部ストレージを何かノ」だの、次から次へと欲しくなる。そして実際、買った。何度も清水の舞台から飛び降りた。そうさね、256のVRAMを1万7千円でとか(現在は限りなくゴミに近い)、今やだれも欲しがらない72pin SIMM 16MBを2枚8万円で、とか。これだってずいぶん値下がりしたあとのハナシである(もっとコワイ買物もしたけどヒミツ)。しかも困ったことに、Centris 660AVは(改めPower Macintosh 6100/60AVも)メモリを2枚ペアで増設せにゃならんのである。「とりあえず1枚だけ挿しておこー」なんて器用な真似はできなかったんである。だから出費も倍倍になるんである。

そうした費用はどうやって捻出していたのか? 先述のように、私は4年くらい前まで現役で学生だった。月に20万も懐に入る社会人サマとは身分が違うのである。120円(当時)を節約しようと代々木から新宿まで歩くくらいチャメシゴトなんである。バイトはもちろんやったが、とてもとても「金食い虫」の面倒を見きれるものではナイ。

あとから思うに(いや当初からその気配濃厚であったのだが)育英会の奨学金をつぎこんでいたのである。大学院ではべらぼーな額面の奨学金をいただいていたのである(社会人サマには鼻先で笑われるが)。学費等ずいぶん金銭的に助かっていたのだが、どうもMac関連の出費はその奨学金に後押しされていたような気が…。

奨学金、実際には「無利子の借金」である。大学院にうろうろするのも年限があって、「単位満期修了退学」なんてへんてこりんな肩書きをもらってオサラバ、小さい会社に就職したとたん、借金返済ライフの始まりである。なんと総額500万円以上! 20年に分割して支払うとはいえ、くらくらするような額面である。しかし、そのお金でCentris 660AVを買ったりしていたのだから、致し方あるまい。最近、利率が悪いのに見切りをつけて「えいやっ」と300万円ほど一括返済したが、まだ180万円ほど残っている。毎月毎月返済中である。あと15年くらい。

って、全然Macの話ではないではないか!!!(汗)

最後に慌てて書き足しておくと、Centris 660AVでは(改めPowerMac 6100/60AVでも)よく遊びましたとも。変なソフトもよく買った(そのお金の出所もノ)。Forever Growing Gardenなんて、知ってる人、いる? 出たてのBryce英語版を買ってマニュアルむしむし読んで景観レンダリングに1時間待機なんてこともやった。そのうちハイパーカードにはまり、OMOにはまり、エキスパンドブックにはまり、オーサリングの魅力に中途半端ながらとり憑かれていくわけで、これがなければ私がこんなにパソコン漬けになることもなかっただろう。…つまり諸悪の根源。

まっこと、Centris 660AVは(改めPowerMac 6100/60AVも)いい奴だった。いや、いますよ、まだ家に。ずっと家族共同&通信用で使っていたのが、先日ついに鏡餅iMacにその座を奪われた。でもまだいる。どうしても手放せない。何度か買換えをしたその都度考えるのだが、どうしても処分できない。自分のお金(もとい奨学金)で買った最初の機体ゆえ、妙に思い入れがあるらしい。

割と頑丈な機種たちの、最後の世代だったんじゃないかと思う。「熱に弱い」とかなんとか言われながらも、重い仕事をさせるとフリーズしながらも、よくもっていたもの。本当はまだ使いたい。そのうちにもっと軽いOS入れて復活させようかな。

結局、とり憑かれているらしい(苦笑)。

(葵 都魔都)
昨年のiweekで、初めてお会いして、その場でお願いしたエッセィ、その時のノリだけでお願いしてしまい申し訳ありませんでした。しかし、都魔都さんものめり込んでますね。。。謎のマックな美女、都魔都さんエッセィをお楽しみ下さい。また、どこかのイベントでお会いしましょう。

(MacTreeProject)

葵 都魔都
Tomato Aoi

青いトマト=「未熟者」。「苫治安(とまちゃん)」と書くこともある。
Macとオーサリングにハマッた哀れなお野菜。生物学的に女らしいが、どう見積もっても洋服代よりPC用品代の方が嵩んでいる。JHUGのラストで参加、引続き後身である「あまくり」にいるようないないような。文章を書くのが好き。念願の自前サイトを起ち上げ、ぼんやり活動中。

▼私設版元Eski Yolcuのホームページ
http://www.eskiyolcu.com/
▼個人的日記のホームページ
http://plaza.rakuten.co.jp/tomatian/
▼アマチュアクリエイターの集い(あまくり)
http://amacre.site.ne.jp/

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