Vol.16 蝶が羽を拡げたかのように・・・須山 慶太

iBook Rev.A ブルーベリー改(悪)
PowerPC 750/400MHz , Backside Cache 512k/200MHz
RAM 160MB
HDD 10GB (IBM Travel Star DCXA-210000)
ストラップアダプタ「さげる君」機能搭載

1999年7月21日、ニューヨーク・マンハッタン。コードネーム「P1」と呼ばれる新型ノートブック発表が噂され、ジェイコブ・ジャビットセンターには朝からキーノートスピーチを待つ長い列ができていました。

スターバックスのベンティ・ラテを片手に、いつものように展示会だけの安バッジを首から下げ、入場ゲートの最前列に陣取ったギークなおじさん達と間もなく登場するであろう新製品をあ~でもない、こ~でもないと話していると、キーノートがスタート。つま先立ちしてアップルブースの巨大スクリーンに写るスティーブジョブス(の一部)を見ていましたが、まだキーノートも中盤といった頃に隣のおじさんが「おいっ、あれ見ろよ!」。

このExpoでもキーノートでの新製品発表まではブースに黒幕がかけられ、中を伺い知ることができなかったのですが、どうしたことか基調講演半ば、スティーブ・ジョブスが熱弁を振るっている最中にカバーが外され始めました。視線には展示ブースと回転台が入ってきましたが、そこにはタンジェリンとブルーの蝶が羽を拡げたかのように、P1の乱舞している姿が!

カバーは手違いと分かったスタッフにより数分で元に戻されましたが、最大望遠で撮影したデジカメを手に、会場まであと十数分という頃には、タクシーでホテルに向かい、車内で更新記事を書いておりました・・・。

iBookとの出会いはドラマティック(なのか?)なものでしたが、実際手にするまでにはそれからしばらくの時間が必要でした。有楽町での抽選会も、じゃんけんとくじ運から見放された私には、当たりを引き当て地下鉄でバラすポチ女史の勇姿をただWEBで拝見することしかできませんでした。発売当初タマ数は極めて限定されており、予約開始と同時にアップルストアに発注したタンジェリンは、追加注文したACアダプタが入荷せず2月待ちに・・・(挙げ句の果てに2月立ったら「iBook、先に送ります」って、責任者出てこ~いっ!)。

そんなあこがれのiBookを手に入れたのは、会社帰り、同僚と立ち寄った秋葉原。どのお店でもほとんど店頭在庫が無い時期でしたが、その筋では強烈なフックのある五州貿易に、ブルーベリーの並行輸入版が一台あるではないですか!「あたしが狙ってたのに~」というお店の方の声を振り切り、即決・お持ち帰りとなり、同僚にはあまりの子供ぶりに呆れられる始末。しかしなにはともあれiBookとの生活がスタートしたのです!

iBookはご存じの通りG3チップによる高速処理、ポップで親しみやすいスタイリングにワイアレスネットワークソリューションを提供するAirPortとトピックには事欠きませんが、やはり特筆すべきは小学校などの教育現場での使用にも耐え得るタフな匡体。ほぼ毎日ディパックに放り込んで持ち歩き、購入以来アメリカ、ヨーロッパ、アジアと20万マイル程同行してもらいましたが、ハードウェア上のトラブルは皆無でした(さすがにiBook SEに代える時には、USBポートわきにクラックが生じましたが・・・)。恐らく世界最強(度)のノートパソコンでしょう。

もう一つモバイルノート(というと語弊があるかもしれませんが)として、私にとって重要だったのがオールインワンであることでした。iBook以前はPowerBook 2400を使用しており、当初は「これでどこでもMacだ~っ!」と思っていたのですが、実際にはあまり活用できず・・・。どこでも同じ環境をと思っていたものが、実は非常に限られたものであり、限定解除のためには美徳であるはずの軽さを犠牲にした上、極めて煩雑な手続きが必要となることが判明。

昔っから絶対必要のないものまで遠足に持っていってしまう子供でしたので、そういった手間(や重さ)は惜しまなかったのですが、昔っから本当に必要なものだけ忘れてしまう子供だったため、PB2400との生活に破綻をきたすまでにそう時間はかかりませんでした。

匡体にハンドルまでついたiBook、そのハンドルさえ掴んでいれば「これでいいのだ」と言わんばかりのパッケージングは、私のモバイル/サブノート幻想を叩き壊し、どんな殺人的な満員電車であろうが絶対に壊れず、砂漠のど真ん中のモーテルでもいつもと同じ環境が実現できるiBookに、私はいつしか傾倒してゆきました。

で、傾倒する向きが彼岸の方向を向いていたため、このマシンでは改造と称した改悪(これも子供の頃から「デチューン・須山」と呼ばれておりましたが・・・)三昧。「改造すると保証が効かない」、「自分が買ったものなのに好きに使うことができない」、「じゃあ保証が無い並行輸入品で好き放題」というお子様三段論法で、今井隆さんのMystic Roomを教科書にクロックアップのハンダごて実習やアルミパネル剥ぎ、ハードディスクをねじ込んでハンドルにはストラップと、散々楽しませていただきました。

その後iBook SEが登場し、どこでもDVDシアターが実現すると、改悪の限りを尽くしたマシンは資金調達のため社内で秘密裏に売却。どこへ行くにも連れて回っていますが、へこたれたのは大雪でディパック(内)が水没した時だけで、その時でさえビデオ出力以外は正常動作しておりました(まあ、ビデオ出力が致命的なプレゼンではありましたが・・・)。

初めて触れたアップル製品は、16才の時ホームステイ先にあったMacintosh Plus。初めて買ったのがCentris 650、初めてのノートであるPowerBook 520C、会社で長年使用しているPowerMacintosh 8500、自宅のiMacや本の執筆に参加させていただいたCubeなど、思い入れのあるマシンは多いのですが、今回参加させていただいた「林檎いとしや」で選んだのはiBookでした。

気軽なオールマイティー、そんなiBookに惚れたのかもしれません。重い?画面が小さい?解像度が低い?PCカードが使えない?バカっぽい?・・・「で?」と言い切ってしまえるMacの名を持たないマック。PB2400には軽快さがあり、PBG3は更なるパワーを持っていましたが、図体の(異常に)デカい子供にとって、本当にパーソナルであり、なにより自由でなによりもマックらしい、途方も無いチャームを感じさせるマシンでした。

(はい、須山歯研です
須山 慶太)

 

すごい大作のいとしやです。
EXPOの会場で、マックレットのブースの一角でジャンクショップを開いていたのを捕まえて、執筆のお願いをしました。
須山さんのページは歯関係のページのはずなんですが、、、、なぜかトップページは マックばっかり。一度、ご覧ください。彼のマックな生活が浮かんできます。

(MacTreeProject)

はい、須山歯研です
須山 慶太

須山 慶太(歯)30才 千葉県在住。大学在学中秋葉でのバイトが祟りマックの 泥沼へ。歯科技工士で補聴器屋店長な株式会社須山歯研取締役(戸締まり役)。 特技「意味なき出張」。座右の銘「妥協なき出血」。
はい、須山歯研です
http://suyama.co.jp/

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