Vol.12 あの日、あの時、SE/30がそこにいた 武藤由美子

Macintosh SE30CPU:68030(16MHz)
メモリ:1MB/最大128MB
ハードディスク:40-80MB/SCSI
ディスプレー:9インチモノクロCRT 

仕事で初めて使ったのがLC 630、初めてMy Macを買ったのがPerforma6210とごく普通のMacライフを送っていた私にとって、Old Macは無縁の生活でした。
ある日近所に面白い中古パソコン店を見つけ、よく通うようになりました。
そこにはOld Macがいっぱい置いてあったのですが、目的はあくまで実用的なものをいかに安く買うか。
中古モニターなどを安く買っては喜んでいたのでした。
そんなある日、SE/30が店頭に並びました。
それまで雑誌でしか見たことが無かったのですが、そのスタイルに一目惚れ・・・
決して安くはなかったのですが、即お持ち帰りとなりました。
それからは、メモリーやHDDをアップグレードしては悦にはいるという、完全にOld Mac病が進行。
そんな日々を送っていました。

そんな97年、主人が仕事で3年間ロスアンゼルスに駐在することになりました。
Macの生まれ故郷のカリフォルニアに住めるということで、英語もろくに話せないのに大喜び。
周りも、「アメリカではMacや関連製品が格安で売っているよ。」と教えてくれます。
期待に胸弾ませて、ロスに引っ越したのでした。

実際に引っ越してみると話が全然違います。
パソコンショップのMacの扱いは日本以上にひどいものだし、何たって高い! 「こら! 責任者出てこい!」 アメリカは安いというのはもうとっくに過去の話だったのです。

アメリカ生活にも慣れてきて、友人からスワップミートに面白いものがよく出ていると聞いて行ってみました。
う~~~ん、面白い。
アメリカに来て最もエキサイティングな体験です。
日本で高値で買ったSE/30が格安、また当時まだ新品で数百ドルもした2GBSCSI HDDが中古とはいえ$10。
“AS IS” (保証無し)というのが怪しいが、えーい買ってしまえ。
こうして、SE/30 2台とHDD 5個を買って帰ったのでした。
さて、帰ってチェックしてみるとHDDは一つも動きません。SE/30は・・・ゲッ、起動しない。
やられました。これがアメリカなのか~~~(T_T)。
ここで助かったのが、頼れるダンナ様の存在。
彼は電気系のエンジニアーなのです。
SE/30は半田ごて片手にチョイチョイと直してくれました。
今考えるとこのSE/30が人生の一大転機でした。

それからというもの、格安品を見つけては買いあさってしまうようになりました。
日本ではいくら、と考えると買わないと損な気がしてしまって・・・
とはいえ、個人のコレクションとして”飼う”には限度があります。
ちょうど、Old Macコレクションの紹介ページ「YumikoのMacな部屋」というサイトを立ち上げていたので、そこに個人売買コーナーを設けて飼いすぎてしまった分を売ることにしました。
海外送料まで払って買ってくれる人がいるのかな? と思いましたが、予想以上の反響です。
これで、安心してお買い得品を買いあされるようになりました。

また、スワップミートで英語も怪しい東洋人女性が、中古Macを買いあさるのは相当目立っていたのでしょう。
その道の多くのプロから声をかけられました。
「うちの倉庫に、たくさんあるよ。安くしとくよ~。」などなど。
そういうつながりがいくつもできて、HPの個人売買コーナーもまるでプロのショップのような品揃えになり忙しくなってきました。
個人売買コーナーの運営は主に私がやっていましたが、Macの整備はダンナ様の担当です。
忙しい駐在員としての本職を持っている彼にとっては、負担になってきました。

そこで、思い切ってダンナ様に仕事を辞めてもらい、Vintage Computer, LLCという会社を設立して本格的にOld MacのWEB販売を始めることにしました。
一流と言われる会社でしたので、辞めるときは皆に「馬鹿なことをした。奥さんがかわいそう。」とよく言われたようです。
T社様、実は黒幕は私だったんです~。

あの日、あの時、SE/30がそこになかったら、今頃普通のサラリーマンの主婦として日本に帰国していたはずです。
そう考えると、SE/30は思い入れといった言葉以上のマシーンですね。
21世紀をアメリカで迎えて、改めてそう感じたのでした。

(武藤由美子)

 

実は、今回の林檎いとしやは、初めてMacTreeの面々の誰もがお会いしたことがない武藤さんに原稿を依頼しました。武藤さんを初めて知ったのは実は武藤さんからのMACTREEへのメールだったと思います。まだ、武藤さんは仕事としてではなく、多くのマックと暮らしている。一人のOLDMAC愛好家の頃。ページ上でみた、彼女のマックたちは何れも現役で稼働していて、広い部屋でほほえんでいました。そう部屋の主役たちは、あの日、僕らが欲しくても手がでなかった頃のマック達・・・その後、Vintage Computer, LLCとなり、現在はMACTREEのスポンサー様でもあります。

(MacTreeProject)

武藤由美子
Yumiko Muto


19??年生まれ。ロスアンゼルス在住。ロスから日本へOld Mac, Newtonを販売するVintage Computer, LLC 副社長。ショップ運営、学生、ライターもどきと忙しい日々を送っている。Vintage Computer, LLC

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