Vol.1 勘違いがなかったら・・・ 早川 厚志

Performa 6210スペシャルセットCPU:Power PC 603 75MHz
二次キャッシュメモリ:256KB
メモリ(メモリタイプ):16MB/最大64MB(SIMM)
内蔵ハードディスク:800MB(IDE方式)
CD-ROMドライブ:4倍速(トレイ式)
モニタ:15インチマルチスキャン
漢字Talk 7.5.1
Apple Desktop Bus マウス II
Appleキーボード II JIS
PlainTalkマイクロフォン
Apple Color StyleWriter 2200

 私にとって忘れられないマシンは、1995年の冬に購入した「Performa 6210」だ。それまでパソコンには見向きもしなかった私は、MacとWindowsの違いはおろか、「モニタ」のことを「コンピューター」だと思いこんでるようなド素人だった。

そんな私がマックを購入したのは、Windows95の発売で世間が騒がしくなり、「とりあえず流行物には手を出しておこうかな」という安直な考えと、シーケンサー内蔵キーボードの小さな液晶画面に限界を感じ、もっと大きなモニターで打ち込み音楽をやりたかったからだ。

「Performa 6210スペシャルセット」とは、標準のPerforma 6210のハードディスクを800MBに拡張すると共に、Apple製プリンタ「ColorStyleWriter 2200」をセットにした商品だ。これを選んだのは、店員の「本体とモニタが別々なので買い換えたくなったときに都合がいいですよ」という言葉とプリンターをあらためて買う必要がないからだ。確か22~23万円程度だったと思うが、飽きっぽい性分の私にとってはかなり高価な買い物だ。「スグに飽きて使わなくなったらどうしよう」という不安もあったが、もしもそうなれば誰かに売りつけようと、とりあえずローンで購入した。

何の下調べもしていなかった私は、初めてそれがWindows以外のOSで動く機種だということや、MIDIソフトの「Performer」とは別物であることを知った。直ぐさまRoland社の「ミュージ郎」を購入、付いてきたソフトのインストールを試みるが、マニュアルに掲載されている図版と6210の画面が異なることに気付いた。ソフトを起動するためのアイコンが並んでいるだけで、本に載っているような「Macintosh HD」や「ゴミ箱」なんてものはないのだ。一緒に買った「マッキントッシュ入門本」を見たが、こちらの図版にもやっぱり「ゴミ箱」が載っている。購入店に電話を確認したところ、6210には「AtEase」というものが組み込まれているためで、それをマニュアル通りにオフにすれば大丈夫とのこと。なんとか「AtEase」を外すのに成功し、「Macintosh HD」と「Performa HD」の違いに戸惑いながらも、いくつかのソフトのインストールを終えた。

いよいよデモ演奏を試みるのだが、今度は音が出ない。おもむろに本体のボリューム調整スイッチを押したところ、スイッチが奥で引っかかって戻らなくなり、同時に最大音量の警告音が鳴りやまなくなってしまった。叩き壊してやろうと思ったが、未だ一度も月賦を払っていない。ぐっと堪えてコンセントをひっこ抜いた。その後も、何度起動し直しても警告音が喧しく鳴り続けるため、すっかり嫌気がさして一週間ほどマックに触れない日が続き、挫折感と敗北感を味わった。でも、不良品なら交換してもらわなければと再び店員をたずねると、「それは個体差の範囲内で、仕様のようなもの」との返答。確かに陳列してあるデモ機にもスイッチが食い込んでいるものがある。ついでに CD-ROMのトレイを開くためのボタンも非常に固く、爪を使って力一杯押さないと反応しないという驚くような「仕様」についても聞かされた。たしかにその通りだった。

その後も頻繁にフリーズやシステムエラーなどに遭遇した私は、このマシンを使いこなすためには、音楽ソフトを使う前にMac自体について詳しく勉強する必要があることを悟り、Macや関連雑誌、参考本との格闘が始まった。

こうしてド素人の「勘違い」により偶然Macユーザーとなった私だが、相次ぐトラブルに遭遇することでMac本来の面白さを知ることができたと思う。そんな機会を与えてくれた6210が今でも中古ショップに並んでいるのを見かけると、ついボリュームスイッチをグイッと押してイタズラしたくなってしまう。もしも最初にWindowsマシンを購入していたら、今でもパソコンに触る生活をしていたかな…?とふと考えることがある。

(早川 厚志)

 

Performa6210が発売されていた頃、アップルは販売拡大のための販路として、今まではマックを扱ったこともないようなショップやパソコンショップ以外のスーパーの電気売り場でも売られるようになっていた、このころ、関西の大手スーパーダイエーの電気売り場で爆弾が出たり、電源が落ちたままのマックを見るのが結構つらかったのを覚えている。 アップルが一番苦しんでいたあの時代に、早川さんはマックをさわり、もちろんあの時代でもものすごく優れたユーザーインターフェースを持っていたマックに惚れてくれたんだと思う。 早川さんが今のページを始めたばかりの頃にメールをした記憶があります。たまたま見つけたページで、すごくがんばっていた早川さんを見つけて、エールを送りたかったから、そして、是非続けてくださいと書いた。上のエッセイのある日、勘違いでマックになっていなかったら、今、windows版での 「新しもの好きのダウンロ~ド」が果たして有っただろうか。

(MacTreeProject)

早川 厚志 Atushi Hayakawa


早川 厚志 34歳 埼玉県川口市在住(名古屋市出身) Mac用ソフトの新着情報サイト「新しもの好きのダウンロ~ド」の運営管理人。(本業は、製薬会社の研究所に勤務する会社員) MacPeople誌、MacPower誌でライター活動中。 現在の愛機は、PowerBook(pismo)/500Mhz。http://mac.page.ne.jp/

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