Vol.120 サイト開設日に盗まれたiPod iPodStyle

iPod

「アップルは音楽プレイヤーを発売します」iPodが発売される数週間前、アップル日本法人の会議室で、ティム・クックがポケットからiPodを取り出した。
iPodの実物を見た日本の社員の反応は微妙なものだった。
顔には出さないが、ほとんどの社員は「こんなに大きくて重いMP3プレイヤーが売れるのだろうか?」という感想だったに違いない。
「数年のうちに、音楽プレイヤーのジャンルで半分以上のシェアを確保します」この説明があった瞬間、今度は誰もが苦笑した。そのとき誰もが「そんなことは不可能だ」と思った。

その後、検証用とし提供されたiPodを実際に使用してみて、今までのMP3プレイヤーとは異なる画期的な製品であることが実感でき、「もしかしたら、ブレイクするかも・・・」と思うようになった。そして、多くの予想を裏切って、iPodは発売されて以来好調な売れ行きを見せたのは、皆さんの知るところである。
アップル在職中は、検証用のiPodを半分私的に使用できる環境にあったので、自分で購入する事は無く、自分専用のiPodを入手したのは退職した後しばらくしてからであった。

当時、iPodの情報サイトはわずかしかなく、情報量も内容も不足しがちだった。iPodの虜になっていた私は、新しくiPodを購入した人や、これからiPodを買おうと思っている人向けにWebサイトを作ろうと思うに至った。それが現在の「iPod Style」である。

2002年8月下旬、いよいよiPod Styleをオープンするという日のこと、用事のために外出し、ほんのちょっとクルマを離れ、戻ってくると、搭載していたiPodが消えていた・・・
車内には、充電のために接続していたFireWireケーブルと、オーディオに接続するためのケーブルだけが無残に残されていただけだった。

その足で警察署に盗難届けを出しに行ったのだが、なにしろiPodが発売されたての時代だったので、説明は困難を極めた。おそらく、見つかっても盗難届けが出ている物だとは思い至らなかったのではないだろうか?

初めて購入したiPodだっただけに、非常に悔しい思いをしたのと、自分の不注意に腹が立って仕方なかった。

結局、iPodは戻ってこず、iPod無しにサイトを続けることもできないので、新しい物を購入しなおす必要に迫られたわけだが、このことがきっかけで予備の機種を持たないといけないと感じてしまい、モデルチェンジのたびに新しい機種を購入する癖が付いてしまった。

今回、林檎いとしやの原稿を書くにあたって今までの機種を並べてみた。
最新機種は、薄くて容量も大きく、画面もカラーで動画が再生できるようになっているが、インタフェースのデザインや操作感は初代からまったく変わっていない。
iPodは、誕生した瞬間から既に完成されていたのだろう。そう思うと、盗まれてしまった初代iPod(5GBメカニカルホイール)がとても惜しいと思った。

iPodStyle
iPod情報サイト「iPod Style」の運営管理人。
MacPeople誌、Digitl Audio Fan誌でライター活動中。
Apple卒業以来、頭にAの付く会社をめぐり歩いている。

 

iPod Styleさん、iPod関係の最大級のサイトの管理人さんです。 一度お会いして、ゆっくり話したいですね。

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