Vol.111 妹にもらったMac 佐野昌己

PowerBook G3 400MHz

その黒い奴は突然やって来た
「DVDが観れるというから会社からもらったけど、やっぱり使い方わからないから、もし良かったらもらってくれない?」

14インチ液晶を備えた黒くて巨大なそいつは、pismoと呼ばれる奴だった。ただし、そんな呼び方は耳にしたことがある程度で、妹に、DVDの観方を尋ねられてマシンスペックを検索するまでよく知らなかった。

「そんな古いのもらっても使い道あるかな? でも、いらないならもらうよ」

などと、いたって冷静を装いつつ、心の中ではガッツポーズをとっていた。ごめん、妹よ

DVDが観れないのは兄の教え方が悪いんじゃなくて、会社であれこれ削除されているからだよ。OSのディスクをもらえないなら無理なんだよ。

というわけで、ひさしぶりに実家に戻ったときに受け取ってきたPower Bookは、PowerPC G3 400MHz メインメモリ128MB、ハードディスク6GBというスペックの素のpismoだった。

いまから遡ること、およそ15年前に、はじめてMacintosh IIcxを購入して以来、現在は職場ではPower Mac G5を使いつつ、自分でもちょっといい車が買えるだろうぐらいMacに投資してきているのに(Quadra 950にメモリ64MB積んで、モニターも買ったときは、かなり勇気が要った気がする)、実はノート型はこれが始めてだ。否が応でも、電源を入れる胸が高鳴なる。高性能を追求しているからと、周りには見栄を張ってノートに手を出さない振りをしてきたけど、ほんとうは欲しくてたまらなかったのだった。

自宅に戻り、早速、起動してみる。チタンやアルミなどの金属製に比べると、いささかこころもとないプラスチックの筐体に14インチという液晶が収められているということに気を使いながら蓋を開き、電源を入れると、デスクトップと同じサウンドで起動した。これだけで感涙!

起動は正常と聞いていたので、当然、無事にデスクトップにたどりつく。久しく見ることのなかったOS9の画面と、メインメモリ128MBという状況に、これでいったい何ができるのだろうと落胆すると同時に、改造魂がふつふつと湧き上がるのであった。

翌日、さっそく大須(名古屋の秋葉原)に出かけ、60GBのHDDと512MBのメモリを購入。換装は思いのほか簡単で、Pantherの導入もすんなり終了。3DCGアプリを入れるつもりは毛頭ないけど、日常使うようなアプリを導入してみると、そこそこ使える。いや、けっこう満足に動く。ここで再度、ごめん、妹よ

しかし、実際に使ってみてみると欲が沸いてくるのも人情。大画面をいいことに憧れの持ち運びシアターとして使おうものならムービー再生に非力さを感じてしまう。というわけで、オークションでpismoの上位機種 500MHzのCPUカードを入手して換装。いまどきのCPUなら100MHzアップなど微々たる効果かもしれないけれども、400MHzからともなると実に125%にアップなのである!これが馬鹿にならない体感性能アップで、すっかりMacノート生活が日常になってしまった。

最新のG4ノートにも興味がわかないかと言われればそんなことないのが正直なところだけど、G5の代わりになるわけでもない。しかも、見やすい14インチの大画面は最新のiBookにも勝るとも劣らないのだから結構満足して今日まで使い続けているている。

ありがとう、妹よ

株式会社ダックス
佐野昌己
いまは、制作、執筆の仕事のほうが片手間で、名古屋で3DCG教えているのが主な日課です。あっ、学生もやってます。3足のわらじで忙しい日々を送ってます。けれども、Macに出会うことがなければ今頃何をしていただろうと思うと、時々恐ろしくなることがあります。でも、Macに出会わなければ東京から名古屋まで流れてくることもなかったのでしょうね(笑)

 
古くからのFSNOW時代からの知り合いの一人、マック関係のライターで知られる。僕の友人のうち、マック系とスキー系の両方につながる一人。久々に一緒に滑りたいですね。

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