Vol.54 マイナー機種にはまった 武藤秀毅

Power Mac 6300/160
CPU: PPC 603e/160M

Power Mac 6300/160、実にマイナーな機種である。’97年春、ほんの短期間ひっそり発売された機種だ。更にPower Mac 6300/120とは異なるロジックボードを搭載していながら同名のため、混同されやすい。ちなみに米国では、この機種に相当するのはPerforma 6360。こちらの名称の方が、納得できる。どうして、アップルジャパンがこんなに紛らわしい名前を付けたのか全く謎だ。
名前の謎はともかく、当時使っていたPerforma 6210の性能に限界を感じており、新機種を物色していたが予算が乏しかった。そこに登場したPower Mac 6300/160。6210比クロック倍以上、メモリーもDIMMを搭載しており性能的に満足できそう。何よりも12万円台の価格が魅力だった。ところが、発売したばかりのはずなのにどこも売り切れ、やっとのことで在庫を探し当て購入したのだった。
それからは、常にアップグレードを施して使ってきた。まずはお約束通りメモリー増設。L2キャッシュ 256kBを取り付け、お!バッチリ速度が向上している、と調子に乗ってすぐに512KBに付け替え。HDDを大容量化。PCIスロットにビデオカードを取り付け、ツインモニターに。CS IIスロットにはEtehrnetカード。さらにTV/Video システムを取り付け、テレビ鑑賞にも利用。とコンパクトな筐体のスロットをフル活用した。こうして、「スロット埋めなきゃ気が済まない病」に侵されていった。
G3時代になって再度性能の限界を感じはじめた頃に、CPU直付けのAlchemyでは無理と言われていたG3カードが今は亡きインターウェアー社から発売された。L2キャッシュスロットに挿すこのカード、早速購入をと勇んだが、ここでマイナー機種の悲哀が。何と、動作対象機種にPower Mac 6300/160が入っていない。他のAlchemyロジックボード搭載機は全て対象機種になっており、動作すると思われたが何とも不安。ネットの情報では、動くかもしれないが保証外と回答されたとか・・・ ここは一つ人柱に、と購入。問題なく動作し(結局数ヶ月後に正式に対象機種に指定された)、アップグレード病は更に重症に。その後もバスクロックアップ、G3カードを交換してクロックアップと留まるところを知らなかった。マイナー機種ならではの面白さにはまってしまったのだ。
こうして、Power Mac 6300/160でMacいじりの面白さを知り、これが高じてOld Mac好きのカミさんの後押しもあり、脱サラしてVintage ComputerというOld Macショップを始めるに至った。
アップグレードの限りを尽くしたPower Mac 6300/160。さすがに現在ではメインマシンからは退いているが、Vintage Computerで販売しているAlchemy用パーツの動作検証マシンとして現在でも大活躍中である。

(武藤秀毅)

 

Vintage Computer社 CEOで当ページのスポンサー様、MacFanのライターとしての顔でお馴染みの、武藤社長です。実は、同じく副社長の武藤由美子さんとお二人だけが、いとしやの執筆していただいているなかで、未だお会いしたことがない方です。ほとんどの方は、非常に面倒なことを頼むので、直接お願いするのですが、、、面倒なことを快くお引き受け頂きあありがとうございます。

(MacTreeProject)

武藤秀毅
Vintage Computer社 CEO。

Vintage Computer社 CEO。
九州大学工学部電気工学科卒。トヨタ自動車エンジニア、トヨタテクニカルセンター・ロスアンゼルス駐在員を経て、独立。
’99年 ロスアンゼルスに、 Old Mac, Apple II, Newton とその関連パーツをネット販売するVintage Computer社を設立。
主にMac Fan誌でライターとしても活躍中。

Vintage Computer, LLC
http://www.yumimac.com

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