Vol.8人生を変えたマシン 田中裕子

PowerBook 2400c/180CPU:PowerPC 603e 180MHz
二次キャッシュメモリ:256KB
メモリ:16MB EDO DRAM 最大80MB
内蔵ハードディスク:1.3 GB
外部1.44MBフロッピーディスクドライブ
ディスプレー:10.4インチTFT
Mac OS 7.6(PowerBook 2400シリーズ専用)
メモリ拡張スロット×1
シリアルポート×1
外部モニタポート
SCSIポート
赤外線インタフェース
重量:約1.98 kg(本体のみ)

私が最初に出会ったMacは、大学の研究室にやってきたClassic。
当時はほとんど使い方もわからず、ゴミファイルを作ってはゴミ箱に捨てて空にして・・・というおきまりの遊びをしていただけで、本格的にMacを使い出すようになったのは、会社員になってからのこと。

私が勤務している会社は当時Macintoshでネットワークが構築されていて、報告書の作成から勤怠管理まで、全てをMacでやっていました。
今思えば、とっても恵まれた環境だったかも。

インターネットというものが徐々に日本に浸透しだした頃、私は所属するアマチュア楽団のホームページを作ろうと、とある秋葉原の電気量販店で安売りされていたPerforma5210を初めて自分で買いました。

そのころから新幹線通勤をしていた私は、楽団のページに書く原稿を新幹線の中で手帳に書き留めては、帰ってから深夜にMacに打ち込み、サーバーにアップロードする日々を送っていました。

「手帳に書いたテキストを入力する、この2度手間を何とかしたい。」

とにかく時間を節約したくて(というか、寝不足を解消したくて)、噂のサブノートパソコン「Comet」の発売を1年間待ち、発売初日にPowerBook 2400c/180を購入。

その日から、私のモバイル生活が始まりました。
2400cをもってからというもの、とにかくマシンを持ち歩かない日はないと言う濃密なモバイル生活をはじめた私。
とにかくやりたいことがたくさんある欲張りな私には、いつでも持ち歩けるマシンというのはホントにいいパートナーでした。

ある日、楽団のサイトで公開していた私の文章を読んだMac Beginner’s Diaryのtktr高橋さんに、「ぜひご自分のサイトを」と背中を押されて「Mobile-Dog.com(当時はFour Seasonsというサイト名)」をはじめたのが、いわばひとつの人生の転機。

「毎日モバイルする楽しさを何かの形で伝えたい」とはじめた「モバイルな日々」が徐々に人気を呼んで、そのあたりからPowerBook2400cのコミュニティに深く関わるようになっていきました。

Comet発売の翌年、2400cのクロックアップモデル「PowerBook 2400c/240」が発売。
当時Cometにぞっこんだった私は、新機種は欲しいものの「次のモデルは、少し値段が下がってから買おう」と心に決めていました。

あぁ、でも運命というものはなんと数奇なものか。
新機種発売の前日に予告もなしにCometが起動しなくなり、改めてPowerBookのない生活が出来ない身体になったことを思い知らされました。

「これは、予備マシンがないと絶対ダメだ! 神様が新しいマシンを買えと言ってるんだ。」。
そう勝手に思いこみ、私はあわてて知り合いのショップにPowerBook 2400c/240の予約を入れて、翌日からこのマシンのユーザーになりました。

発売日に購入したPowerBook 2400c/240はそのまま起動を確認しただけでバラシ、旧機種からの放熱対策の違いを公開したのが、モバイル犬・ポチの「即日バラシ」の原点。

当時、「PowerBook 2400c/240が欲しいがためにCometを壊したオンナ」という根も葉もない噂を流されたのも今は懐かしい想い出です。
その後、「PowerBook 2400cを2台持ち歩くオンナ」や、「iBookを買ったその日に地下鉄のホームでばらしたオンナ」、「PowerBook G3 2000を幕張メッセのカフェでばらしたオンナ」という噂が次々と流れ(どれも事実無根ですよ。あ、最後のひとつだけは事実だけど。)、順調にモバイル犬はPowerBook界のイロモノ街道を走っています。

PowerBook2400c/180というマシンに出会って、私はノートパソコンしか使えないモバイル体質になり、そしてPowerBook2400c/240でモバイル犬・ポチというキャラクターがネット上でたくさんの人に知られるようになっていきました。

ここ数年間で、この2台のマシンを通じていろんな人と知り合い、いろんな仕事や経験をしてきました。

PowerBook2400c/240は、私の人生を変えたともいえるマシン。
その後PowerBook2400c/240は毎日私の通勤の友として活躍し、バッテリが持たなくなってサブマシンとなってからも、時々ようもないのに起動されてなでられる愛機として、我が家のリビングで余生を過ごしています。

“もう2400cは持ち歩かないのか”ですか?
できれば今でも、長時間駆動するバッテリがあったら持ち歩きたいですね。
このマシンは、私の今までの人生のベストパートナーですから。

(田中裕子)

 

ポチさんこと田中裕子さんを初めて知ったのはたしかPB2400関係のサイトだったと思う。なんでも彼女の鞄には、常にPB2400と共にバラシの為の七つ道具が入っていて彼女にPowerBookを渡すとバラサれてしまうというジョークが書かれていた。この時、バラスのはジョークとしても、常にバラシの道具を持っているなんて、気合の入ったモバイラーだなと・・・その後、マックなキムチ屋水野君の結婚式の二次会でお会いする事になるのです 。もちろん勝手にPowerBookをバラされる事は無かった事をつけくわえておく。

(MacTreeProject)

田中裕子
Yuko Tanaka


1966年生まれ。新幹線通勤の合間に日記サイトやパームの情報サイトを運営するサラリーマン。Webから有名になり、現在はライターとしても活動している。 著書「モバイル犬ポチのMac de Palm!」「iBook Style」。mobile-dog.com

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