Vol.5 LC520が教えてくれた 山村和久

Macintosh LC520CPU:68030 (25MHz)
メモリ(メモリタイプ:8MB/最大36MB(SIMM)
V RAM実装:512KB
内蔵ハードディスク:120MB(SCSI方式)
漢字Talk7.1

私がMacと出会ったのはいつだったか。
AppleIIの存在を知ったのは中学にあがった頃だった。
その後社会人になって大阪から東京に出て新宿の販売店で働くようになった私は、ある日職場でコピー機のカタログを眺めている時にMacintosh Plusの紹介を目にする。
勤める販売店がキヤノンの販売代理を行っていたからなのだが、それが8年後の私に大きな影響を及ぼすとは当時は想像できなかった。

私は学生時代から絵を描く事を趣味にしていたためその分野で働こうと思っていたのだがどこで間違ったか絵の材料を販売する仕事に従事することになり、おかげで美大でも教えていないような技法を学ぶ機会にも恵まれたためパソコンで描く事にも強く興味を抱いた。
また、当時は日本でもようやく出力センターが登場しはじめた頃で、MSXという廉価で入門者向けのパソコンが人気を博していた。
これを買ってきて自宅でペイントソフトでいろいろ描いてみたのだがすぐに飽きてしまった。
16ビットのジャギーでまくりの絵では応用が効かなかったのだ。
それから6年が経ち、私はプライベートの時間のほとんどを旧いオートバイの修理レストア※1に割いて日がな一日ガレージにこもるようになった。
一度強い憧れと興味を抱くととことんのめりこんでしまう性分のためオートバイいじりばかりで絵を描くことさえしなくなっていた。
そのころ、勤務先がにわかにMacを扱いだした。
Macのカラーモデルとプリンタの性能が充実してきたためデザイナーに定規やマーカー以外にパソコンを売ろうという訳だった。
上層部から厳命が下される。
「各店店員はMacを使いこなせるようになること」
つまり私はMacを使うことになる運命にあったわけである。
当時は破格と言われたClassicII(70万円)とデスクライターが私の席にやってきた。
ひたすらFinder操作とエクセル2.2を憶えまくる毎日。
加えて放出中古のPowerBook170をマイ・マックの初代として購入、情報収集のためユーザー会にも足しげく通うようになった。※2 パソコンで絵を描いて、オートバイよりいじり甲斐のある技術を学ぶ。
ここではじめて私の欲望がMacによって叶えられた訳である。

そこへ衝撃的なマシンが現れた。
13インチのカラーモニタにCD-ROMドライブ、ステレオサウンドに120MBのハードディスク。
とくにCD-ROMドライブはマルチメディアブームの時代だったため注目の的だった。
その名はLC520。
LCIIIへの買い替えを考えていた矢先だった私は即決でLC520を注文。 238,000円は今のiMacより高いが衝撃度は初代iMac登場の何倍も大きかった。
夏前に注文した私のLC520が届いたのは秋祭りの笛が聞こえるころだったがぜんぜん気にならなかった。
その形はオールインワンスタイルだが大きめのブラウン管ゆえになんとなく「犬がおすわり」しているような形には愛嬌さえ感じられるものがあった。
現在の自動トレーや吸引式と違いキャディと呼ばれるプラケースにCD-ROMを入れてからキャディをLC520に挿し込むことによってマウントしていたのも今となっては情緒さえ感じられる思いでになっている。
このLC520が登場した年は日本全国がMacブームにわいていた時でもあり、私の必須購読書になっている「MacFan」が創刊されている。
東京、大阪にはハイパークラフトというCD-ROM専門店が登場し新しいタイトルが入荷していないかどうか覗きにいくのがたのしみでもあった。 雑誌にCD付録がつくのもこのころからで律儀な私は買った雑誌のCD-ROMは全部中を見ないと気がすまなかった。
そんな時代だったからか、ある時私は図らずも自己Mac記録をうちたてることになる。
通販で海外のフリーウェア、シェアウェアがぎっしり入ったCD-ROMを購入し、届いたCD-ROMのソフトを1つずつ丹念に起動して吟味していったのだ。
ゲーム、ワープロ、グラフィックソフト、音楽、測定…吸い込まれるようにして没頭するうち、窓の外に2回夕日が沈み、朝日が2回登った。食べながら、僅かな仮眠をとりながら、気がつくと50時間もLC520に興じていた。
そんな私にデジタルで描く愉しみも教えてくれたLC520だったが※3 漢字Talk7.1に68030のスペックでは満足できず翌年、外観が同じでCPUが68LC040になったLC575に買い替えてしまった。

いまこの拙文をiBookで紡いでいて私は思った。
今のエントリーユーザーはMacに出会ってどれぐらい感動を手に入れているのだろう?
iMacシリーズは価格も性能もデザインもすばらしいがユーザーの欲望をどれぐらい満たしているのだろう?
それこそオールドMacユーザーの杞憂であることはみなさんが一番御承知でしょうが。

※1 カワサキW3。 650ccで爆音が凄いため暴走族が寄ってきて困った
※2 MUGNET。大阪でもっとも古いMacユーザー会。 つい最近私が代表の役目を仰せつかった。
※3 六角大王。 3D業界で知らぬ人はいない高性能フリーウェア。私も専門サイトを運営している。

(山村和久)

 

iBook情報局というiBookに関する情報を発信するHOMEPAGEのオーナーです。 そして、現在のMUGNETの会長です。 岸田@mactreeが山村さんを初めて知ったのは、あの関西での初のExpo,MacFanEXPO in OSAKAで見た替え歌でした。エッセィでも書かれていますが、山村さんの替え歌はおもしろくて、また是非聞きたくなるものがあります。 そのときMUGNETブースで頂いた、チラシに誘われていったMUGNETにいたのが彼でした。それから、そう、彼は最近。Keylimeの新しいibookを予約したとか。。。

(MacTreeProject)

山村和久 Kazuhisa Yamamura


大阪府高石市在住、DTP会社のカスタマーサポートに所属。Macの先進性に惚れ込んでユーザー会「MUGNET」に参加、関西でのMac系イベントにはたいてい足を運んでいる。 また、作者ではなく1ユーザーの立場でフリーウェア「六角大王」を広める活動やiBookユーザーを違った視点から応援するサイト「こちらiBook情報局」の運営を行っている。 いきなりマイクを持たされるとマック系替え歌を即興で作るためカラオケに重宝がられることもある。こちらiBook情報局

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