Vol.4 Macは私の「当たり前」をひっくり返した 藤田 隆久

Macintosh LC475CPU:68LC040 (25MHz)
メモリ(メモリタイプ):8MB/最大36MB(SIMM)
V RAM実装:512KB
内蔵ハードディスク:160MB(SCSI方式)
漢字Talk7.1
 

 Macに本格的に触るようになったのは、大学の研究室に入り浸るようになった’94年も終わりに近づいていたころだったと思う。それまでは大学生協のコンピュータ売り場に置いてあったColorClassicあたりに怖々と近づいて、ツンツンとフォルダを開いたり閉じたりしては、「キャー」と逃げ帰ってくるような触り方しかしたことが無かった。個人所有としては98ノートを持っていて、Macはどちらかというと自分には縁の遠い、高級外国車のイメージが強かった。

Macに触るようになる1年前ほどから大学の演習用のワークステーションとしてSunOS・Solarisマシンを使っていて、いっぱしのrootを気取っていたのだけど、それもHyperCardとFinderのデモを見たことで一発で価値観を崩される…。コンピュータの「当たり前」をひっくり返したダイレクトマニピュレーションのユーザインタフェース。そういうシステムが研究所や論文の上だけでなくて、たくさんのユーザに実際に使われているという事実。もうそれだけで、のめりこむには十分だった…。

大学の研究室ではじめて与えられたマシンはLC520。その後1ヶ月ほどしてすぐにお下がりのLC475が与えられた。LC475はご存知のとおりピザボックス型の非常にコンパクトな筐体で、かわいらしくてたまらなかった。そこにCD-ROMやら外付けHDDをつなげたりして使っていた。1スロットにSIMMを2つ重ねることができるSIMMダブラーも使っていたっけ・・・。授業の合間は勿論研究室にいる間のほとんどの時間をこいつとすごした。背面にある電源をパチンと入れて、毎日の生活が始まっていた。

とにかく最初のころは Mac系雑誌の付録 CD-ROMをあさりまくっていたと思う。「フリーウェア・シェアウェア 200本一挙紹介!」というような特集は今も昔も変わらないけど、馬鹿正直にその全部を一つ一つ試用してみたりしていた。でも本当はそれぞれのソフトウェアを楽しむ以上に、CD-ROMから圧縮ファイルをコピーして、Stuffit Expanderで展開して、アプリを試しに使ってゴミ箱に捨てるという一連のFinder操作をこそ楽しんでいたのかもしれない・・・。

とにかく最初のころは、Finderを触っていることが快感だった。「そこにあるファイル」を直接「つかんで」Drag&Dropで管理ができる。そんなユーザにとって当たり前の使い易さをFinderは提供してくれていた。そういうユーザに対する感覚をもったMacが大好きになった。この頃Macに感じていた感覚、Macから受けていた感覚が、“Feel Like Mac”という現在のタイトルに影響を与えているような気がする…。そうやってMacにハマっていく自分を眺めながら、Macの向こうにAppleのエンジニア達のしたり顔を見えていたような気がする(笑)。

そのうちMac OSそのものの仕組みやこれからの行く末がどうなるかということが、とても気になるようになりだした。どうやら“Copland”なるもので大きく改善されるようになる、という話は聞いていたのだけど細かい内容は全くわからない。そんなCoplandに関する情報を集めるために海外のMacSitesを毎晩のように熟読するようになる。MacInTouchやMacCentral、MacWeekといった定番サイトを毎日のようにほぼ全文を読んでいた。

そんなこんなで4年前の夏、“Macintosh Hot News Links”というサイトを開始する。海外のニュース記事へのリンクとその要約に自分のコメントを合わせて掲載するという、今となっては一般的な形式なもの。もともとは研究室内の人に今日のMacなニュースを紹介するといったようなものだったのだけど、研究室の人にはあんまり読んでもらえていなかったみたい(笑)。9月に入ってからどこかの個人運営のリンク集に登録してから、たくさんの人に見てもらえるようになった(既にその頃、実はCoplandがAppleによって廃棄されていたのは皮肉だったけど…)。

そのあとAppleにいろんな大きなニュースがあったりして、自分のサイトのタイトルもFeel Like Macとなって今に至る。Windows 95の登場や、PCのキラーアプリケーションとしてのWWWブラウザ・電子メールの普及により、かつて魅力的であったFinderもその優位性ほとんど無くなった(ユーザはファイルの管理じゃなくて、ブックマークやメールの管理さえできればいいのだ!)。それでも Macの世界はiMacの登場などで何とか新しい世界をユーザに提供できていると思う。でも、やっぱり自分個人としてはソフトウェア面ソリューション面での充実をもってしてようやく Appleの復活を実感することが出来ると思う。もうすぐMac OS Xがやってくるけど、そのOSの技術面だけでは大して世の中にインパクトを与えることは出来ないと思う。かつてのスパコンやワークステーションのようにITの世界で主役を降りつつあるPCという存在に、もう一度何か輝けるソリューションを提供して欲しいと切に願っている。Mac OS Xという新しい道具を使って何をAppleが見せてくれるか、とても楽しみにしている。そしてまたFinderに夢中になれたあの頃のように…、Macの向こう側にAppleのエンジニア達のしたり顔が見てみたいと思う。「すっげーだろー!ふーん!」てな感じで。

(藤田 隆久)

 

藤田さんと知り合ったのは、いつだったろうか?彼がまだ学生でちょうど、このエッセイのマシンにさわっていた頃だったのか、彼は大学のサーバーでMacSitesというメーリングリストを始めたのに参加したのが最初だったと思う。マックの情報発信者の為のMLで入会時には、実際にサイトが存在していて活動しているかというチェックがあった。 彼の人望と、MacSitesというある意味閉鎖的だけど、その分、マックなサイト管理者だけが知り得た裏話や情報が流れる魅力的なML。今でも存在しているが、流量は残念ながら以前ほどではない。 そこでの記憶に、MacOS8の時のお仲間がたちが中心になってやったスタンプラリーを覚えている。みんなが徹夜でスタンプを集めている様は愉快でした。 彼のアイデアと実行力がなければ、今のようにマックのサイト同士のオーナーが顔なじみになって、一つの事を成し遂げることも出来なっただろう。

MacSites

(MacTreeProject)

藤田 隆久 Takahisa Fujita


藤田 隆久 (ぴぐもん) 27歳 大阪府在住 現在、某メーカーにて情報端末機器の開発にたずさわりながら、未来のコン ピュータ環境に思いをはせる。愛機はPowerBook(FireWire,Pismo) 500。最近 はビデオ監督業(?)にも精を出す。 http://www.remus.dti.ne.jp/~takahisa/flm/

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